自作製本まとめ(文庫・上製本)


素人なりに自作で文庫本を製本した時のものをまとめました。上製本とはハードカバーのことです。
これを読んで「自分でもできそうだなー」と思っていただければ幸いです。
ただ文章を纏めるのがびっくりするぐらい下手なので、そういう心持ちでよろしくお願いします。
わからないところは訊いて頂ければ(分かる範囲で)なるべく答えます。

【メニュー】 1.本文をつくる 2.表紙をつくる 3.製本する(ハード/ソフト

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2014/08/20 製本する>背固め に追記
2019/02/04 製本する>ソフトカバー 作成

ページ作成・管理:聖 (リンク等はご自由にどうぞ)


製本する

いよいよ自家製本の最重要工程です(`・ω・´)。
ちょっと長いですがよろしくお願いします。

道具



【使用製本機】ブナぶな考房(A6判≒文庫判用キット/4200円)
万力などを製本機代わりにする方もいるみたいです。

材料

印刷した本文 (今回は270ページの本を製本しています)
印刷した表紙 (A4用紙に印刷しました)
板目紙
見返し紙
透明ブッカー(カバーフィルム)

あったら便利なもの

作業用手袋
濡れたティッシュ

紙をそろえる

印刷して、重しを置いて一週間経った紙です。まだバラバラ状態。




これを三つぐらいに分けて




丁寧にそれぞれ端を揃えて、まとめます。




なぜ三つに分けるかというと、270ページ(135枚)の紙束を一気に揃えるのは無理だからです。
なのでページ数が増えればわける数も増やして細かく揃えるのが、一番いいと思います。

製本機の準備

製本機に先程そろえた紙束を、背になる側を下にして入れます。
製本機の足の下にある板は、3mmのものを使用。




上から見てみると、微妙に一枚上にはみ出ています。




これを放っておくと、分解の原因になるので、適当にネジをゆるめつつ、製本機についてきた板でぽんぽこ叩いて慣らします。軽くたたいても引っ込まなかったら、もう一度製本機から取り外して紙を揃えたりなんだり。




紙束が綺麗に揃ったので最後にネジを締めて、製本機をひっくり返します。
製本機の足の下にある板は、6mmのものを使用(本文紙が下に触れないようにしているだけ)。

背固め

ボンドをてんてこつけていきます。




これをゴムベラでまんべんなく均した後に、段ボールカッター(or糸鋸やワイヤーブラシなど)で傷をつけます。




傷をつけたのがこちら。



ちょっとコントラストをいじって見やすくした画像がこちら。
矢印の先にちょんちょんと細かい傷がついてます。




傷をつけたらもう一回、ボンドをちょんちょんつけて、ゴムベラで均します。
この時に、さっき傷をつけた溝にボンドが入ることで、強い背になります。

【2014/08/20 追記】
最近はボンドをつけたあとに、グルーガンを使って補強しています。
ボンドだけですとうまく背がラウンジせずに直角に本が開いてしまうからです。
後からどうとでもなるので、綺麗に着けようと思わないでも大丈夫です。

そうして背部分を補強する紙(コピー紙・寒冷紗・和紙など)をくっつけます。
くっついてないところがないように、指で綺麗にこすりつけてください。



【2014/08/20 追記】
グルーガンでホットボンドをつけた場合は、補強紙の上からアイロン(非スチーム)をあててホットボンドを溶かして接着します。
和服などに使われる、アイロンかけ面(熱くなる場所)が平らなものだとやりやすいです。
スチームアイロンだと穴が開いているので不均等になりやすいので。


そうした状態の本文+製本機を、要らない紙を敷いて逆さまにします(背部分が下状態)。




本文の背固めは終わりです。暫く放っておきます(倒れないように気を付けてください)。

表紙作成

印刷した表紙を用意します。




前述通り、裏にガイド線が印刷してあるものです。




ガイド線の外枠に沿って、要らない部分を切り落とします。
この時に、ガイド線を印刷していないと、『どこに板目紙を貼るのか、どこで不要部分を切るのか』のガイド線を自分で引かなければならないのでとても面倒です。

ただガイド引くの面倒だなー、という場合でも、外枠だけあればわりとどうにでもなるので、外枠だけは印刷しておくといいと思います。







切った表紙はぐしゃらないように置き、上製本の縁の下の力持ち、板目紙を切り出します。
板目紙はとても厚いので、一回で切ろうとせずに、何回もカッターを入れて切り離してください。




切れました。真ん中の紙は、前に出した紙の厚み分です。




ボンドをべたりと塗り、脇に控えているゴムベラで、乾いた場所が無いように塗りたくります。
この作業で手が汚れると思いますが、洗えば落ちるので気にしないようにします。




ボンドを縫った板目紙を、表紙のガイドに合わせてべたりと貼ります。



使ったゴムベラはそのままにしておくと塊になったボンドが後の作業で邪魔するので、濡れたティッシュなどで拭っておくといいです。


表紙を乾かしてる間に、見返し紙を切ります。二枚きり出すと、1.5mmぐらい余ります。
これの長辺を折った時に、本文紙と同じサイズになればOKです。




曲尺に合わせて折ると、簡単綺麗に折れます。




表紙が乾いたので、のりしろにボンドをつける前に折り目をつけておきます。




こんな感じになりました。




切手シールなどを貼ったりしてます。
カバーフィルム(ブッカー)が写ってますが出番はもうちょっと先です。




角っこを切り落として、




長辺、短辺の順に折り畳みます。




ブッカーを文庫本が巻けるサイズに切り出します。
私は上下左右それぞれ3マス(15mm)ののりしろを取ってます。
中に入っているのは似た厚さの本です。ブッカーを貼る時に便利です。




透明ブッカーを貼りました。
詳しい貼り方は検索すれば出てくるので割愛します。




これで表紙の完成です!

本文紙束と表紙合わせ

そろそろ背も固まってきた本文と表紙を合わせます。




本文紙束はこんな感じになってます。






見返し紙と本文紙束のドッキング写真を撮り忘れました。
背部分補強紙の縦に飛び出た部分を切って、横に飛び出た部分を織り込んで、見返し紙を接着。


確認作業をしていたら微妙に出ていたので、こういうのは綺麗に切り落としておきます。




いよいよ本文と表紙をくっつけます。
表紙の下に、似たような厚さの本を置いておくと何かと便利です(写真右側のオレンジ部分は本)。
この時が天地の最後の確認になりますので、くれぐれも上下逆さまにしないようにご注意。




そんでもって板目紙の時とおなじようにボンドを塗って、また脇で待機しているゴムベラで乾いた場所が無いように塗りたくり、すかさず表紙と合わせます。
ちなみに写真のこのボンド量は明らかに足りないので参考にしないでください。




反対側もおなじようにして、一時間ほど重しを置いて圧着させます。
ここで開いちゃうと分解しやすくなるので、本の形になっててもがまんがまん。

そして一時間経ったものがこちらです。完成!!!



わー!お疲れ様でした!ぱちぱち!

今まで作った本たち

今まで作った本です。
真ん中の黒い本が一枚紙を使ったもので、こういうデザイン紙の場合は【表紙をつくる】の工程がほぼ要らなくなります(ガイド線は便利なので、結局ペイントソフトは開くのですけども)。
右端はクラフト紙に印刷してみたんですが、色が飛んでて白っぽく写ってます(´・ω・`)。



このあいだ調べていたら個人でも箔押しが出来ることを知ったので、今度の本は箔押ししたいなー、とか考えています。こういう風に本単位でデザインが変えられるのも自家製本の魅力だと思います。

最後に

個人的備忘録も兼ねて「自家製本の作業工程をまとめてみよう!」と思い立ったのはいいのですが、なんだか物凄く長くなってしまって、逆に分かりにくくなってしまったのではないか、と心配になっています。

初めての作業は確かに大変ですが、何回もやってみると時間がずっとぎゅっと短縮して疲れもそんなに感じなくなります。実際私がそうでした!初回は二時間〜三時間ぐらいかかりましたが、最近は最後の圧着を除いた製本作業だけなら一時間半で出来るようになりましたし。
出来ればこの長い説明文にうんざりせず、自家製本にトライしてくれる方が一人でも増えたら、とても嬉しいです。

ここまでありがとうございました。